南ア深南部 大根沢山(2240m)、小根沢山(1922m) 2011年12月17日

所要時間
 7:13 駐車余地−−7:20 送電鉄塔−−7:22 林道−−7:43 廃林道崩壊地−−7:55 稜線−−8:08 1398m三角点−−8:18 林道−−9:08 1737m峰−−9:35 1903m峰−−10:03 2112m三角点−−11:12 大根沢山最高点−−11:15 大根沢山三角点(休憩) 11:42−−12:15 小根沢山(休憩) 12:26−−13:27 大根沢山三角点−−13:30 大根沢山最高点−−14:06 2135m峰(休憩) 14:21−−14:37 2112m三角点−−14:55 1903m峰−−15:12 1737m峰−−15:36 林道−−15:50 1398m三角点−−16:15 送電鉄塔−−16:20 駐車余地

概要
 明神谷林道より往復。日中の時間が短く明るいうちに帰れるか心配だったが大丈夫だった。林道の1050m地点に車を置いたが4WD車なら踏跡入口の1130mまで可能。全体的に踏跡明瞭で目印乱打状態につき、大根沢山まで迷う心配はなし。深い樹林が続き展望が無いが、2110m峰、2135m峰で西側の展望あり。標高2000m以上で積雪しはじめ山頂で2,3cm程度。大根沢山〜小根沢山間も踏跡があり尾根明瞭で、明るく開けた尾根で日差しが有りがたい。小根沢山は目立たない小ピーク。どうも一般的に小根沢山と呼ばれるピークと山名事典の小根沢山の位置は異なるようだ

ルート図。クリックで等倍表示

 南ア深南部は2000m峰は全て登ったためにしばらく足が向いていないが、1900m台の登り残しはいくつかある。どうせ行くならもう少し暖かい時期がいいのだが、本格的な冬が始まったこの時期にそこそこ標高が高い山に登るためには太平洋岸に近い所が理想的だ。それに私の1900m台の未踏峰は長野等が多いため、雪が無いのは深南部くらいなのであった。いくつかある未踏1900m台の中で今回は小根沢山を目指すことにした。大根沢山の南側にある小ピークで、通常は大無間〜大根沢山間の縦走路で歩かれるはずだが、もう幕営には寒いし土日で廻ると日曜に自宅でのんびりする時間が取れない。そのため強硬だが日帰りで攻めることにした。大根沢山を日帰りしたときの所要時間から考えれば可能だろう。その時は畑薙第一ダム側から登ったが、今回は明神谷林道から行くことにした。ここは大根沢山の一番メジャーなルートらしく、たぶん安心して歩けるだろう。林道は廃林道だろうから入口から歩くことになるだろう。

 東京から畑薙ダムは遠い。甲府南ICから富士川街道に乗り、国道1号バイパスに入って西に進む。千代田上土ICで降りて県道74号線に乗るといつのまにか立体交差の立派な道ができていた。しかし左車線を走っていたら自然に降りてしまい、旧道で桜峠を越えて県道27号線に出た。安倍川沿いを北上、毎度の富士見峠越えの県道に入ろうとしたら崩壊で通行止めで、口坂本温泉経由で入れとのこと。しかし大日峠から井川ダム間は夜間通行止め(19:00〜6:00)とのこと。とりあえず行けるところまで行ってから仮眠することにして、口坂本温泉を通過してなおも進み大日峠到着。しかしゲートは無く井川方面へと下り、富士見峠との道に合流したところで車止めがあったが、車が通過できるよう中央は開いていたので通らせてもらう。井川ダム側にも車止めがあったが同様に通過可能な隙間があり、何が何でも通ってはいかん!というわけではないようだ。

 あとは県道を進むだけ。畑薙第一ダムへは林道崩壊で通行止めと出ているが、前回来たときに崩れていた個所だろうから白樺荘まではOKだろう。畑薙第二ダムを通過してすぐに新白樺荘が登場、この目の前が明神谷林道起点だ。最初から廃林道かと思っていたが意外にも最初は舗装、ダートになってからも重機で新たに整備された形跡がありどんどん入っていく。標高1050mのヘアピンカーブを越えてなおも上ると柔らかい砂利の山があり、パワーが無い2WDの軽自動車では越えることができず、ヘアピン付近の道幅が広がったところに車を置いて寝た。東京から6時間近くかかった。さすが畑薙は遠い。

 翌朝、明るくなるのと同時に出発する予定がたっぷり6時間寝てしまい、目覚めたら薄明るくなっていた。お湯を沸かして朝飯を食い急いで出発。さて、明るい時間帯にここに戻れるだろうか。

林道途中で駐車 ここから尾根に乗る
間伐帯 間伐帯終点

 このまま林道を歩いてもいいのだが、目の前の尾根を直登すればショートカットできるので尾根に乗る。籔があるわけではなく薄い踏跡も見られたが人間のものか獣道かは不明だ。すぐに赤松植林帯となるが、繁茂した灌木を伐採したばかりのようで放置された「人工倒木」が強烈であり、とても伐採帯は歩けずに尾根を外して植林と自然林の境界斜面を上がった。

鉄塔に出た 巡視路
林道に出た。この先は廃林道化

 傾斜が緩むと送電鉄塔登場、伐採はその手前で終わっていた。鉄塔より先は尾根上に巡視路があり楽々進行すると林道に合流、ここもまだ路面が整備されて普通車でも走行可能なレベルであり、おそらく送電鉄塔の点検用に林道を利用しているのだろう。そしてそのすぐ先で林道整備は終わり廃林道化した道が続いていた。そして林道右手には真っ赤に錆びた一斗缶がぶら下がっており踏跡が尾根に上っていたが、このまま林道を進んで1397.9m三角点峰を巻いてから尾根に乗った方が得だと判断、そのまま進んだ。結果的にはここで尾根に乗るのが正解だとわかったのは下山時のことである。

林道上に杉が生えている ガレを横断
灌木が登場 この崩壊地は獣も通過不能
ここから露岩を登って斜面へ 露岩を突破しても急斜面
やっと傾斜が緩む 尾根に出たら目印登場

 廃林道は植林したのか、それとも勝手に生えたのか赤松や杉が成長を始めていた。最初は多少の落石がある程度で問題なく歩けたが、そのうちに斜面が崩壊して土砂が林道に押し出して、崩れやすい砂利のトラバースが必要な場面も出てくるようになった。動物もここを利用するようで、そんな個所でも獣道の筋ができていた。しかし標高1250mで尾根を巻いた先の崩壊地は林道が丸ごと崩落して崖と化しており、動物さえ通過不能な状態だった。高巻きして林道に戻ることも可能だろうが、この分ではまた崩壊地が出てくる可能性があるので尾根に出ることに。しかし林道の斜面側は法面が連続し、なかなか取り付ける個所が無い。どうにか上がれそうな露岩帯を見出してそこから斜面に上がるが、これが急斜面で木に掴まりながらとなる。籔は無いので適当に上がれるので、ようやく傾斜が緩んでジグザグに登って稜線へ出ると、なんと賑やかな目印ではないか。おまけに踏跡も明瞭で、まるで登山道である。さすが大根沢山のメインルートである。もうこれでは籔山とは言えないだろう。

1397.9m三角点 なだらかな尾根を進む
林道に出るとブルドーザが放置されていた 林道を横断しここから尾根に登る
1410m肩の祠 再び林道だがすぐに終点

 稜線に出た時点ではまだ現在位置が把握できなかったが、小ピークを越えて僅かに下り、次に登ったなだらかなピークで三角点を目撃し、ここが1397.9m峰だと分かった。思ったよりも廃林道を進んでいなかったらしい。籔が無い広く緩やかな尾根を進むと再び林道に合流、そこには置きっぱなしのブルドーザーがあっていい目印になる。林道を横断して目印に導かれて削られた斜面を上がり、再び尾根上を行く。1410m肩に小さな祠があり、昔から林業等で人が入っていることが分かる。やがて右手から廃林道が接近、林道に乗るがすぐに終点となった。まあ、籔が無い尾根なので林道など無くても問題なしだが。

廃林道終点からも明瞭なルート 最初は照葉樹が多い
徐々にシラビソが優勢に 1737m峰

 しばらくは緩やかな尾根が続き、植生は低い照葉樹の混じったシラビソと落葉樹の混合林だ。相変わらず下草無し、籔無しの目印多数で籔山の雰囲気が感じられない。1737m峰直下では急な登りとなり尾根がバラけるが、これまた目印多数で迷う心配尾は無い。1737m峰はシラビソに覆われたピークで展望は無かったが、久しぶりの平坦地で休憩にはちょうどいいだろう。

1903m峰

 このままシラビソ純林帯に突入かと思いきや、1700m鞍部から登りにかかると明るい落葉樹が混じる。しかし1800mを越えると薄暗く深いシラビソ樹林に変貌、南アらしくなった。それでも目印は多いし「火の用心」の標識が出てきたりと、深南部とは言えないように感じるほどかなり人の気配が濃い。1903m峰は小さなこぶであるが、それまでは登り一辺倒なのでいい現在位置確認ポイントだ。

1890m鞍部 徐々に雪が現れる

 なおも深いシラビソ樹林を登り続け、標高2000mを越える辺りからちらほらと雪が地面を覆い始める。気温は低いようで雪はサラサラのまま、このシラビソ樹林では日当たりが相当悪い影響もあるだろう。徐々に積雪が増えると踏跡は隠れるが、目印は相変わらず多い。標高2030mを越えると尾根が消えて斜面の登りになり、下山がイヤらしいがここも目印多数で自分で目印を補強する必要はなかった。

2112.2m三角点峰 文字が消えた標識

 傾斜が無くなって2112.2m三角点峰に到着。ここは2度目で前回は5,6年前だったか。畑薙第一ダム方面から歩いてきて、ここで「明神」の標識を見て明神谷林道がメインルートだったのかと初めて知ったのだった。今までも目印は賑やかだったが、ここは特に多い。三角点があるので場所を間違うことは無いと思えるのだが。前回来た時には明瞭だった標識の文字は消えかかっており、経過した時間の長さがうかがえた。

大根沢山へと向かう 2110m峰のガレ付近から南を見る
2110m峰のガレから見た信濃又〜上河内岳(クリックで拡大)
2110m峰のガレから見た光岳〜上千枚山(クリックで拡大)
2110m峰のガレから見た聖岳、荒川岳

 ここからはなだらかな稜線が続く。前回来た時は強風で寒かったが、今回は風はほとんどないが気温はたぶん前回並みに低いようで、歩いていても足の指が痛いくらい冷たかったので-5,6℃はあっただろう。おまけに深い樹林で日差しが無いのも寒さを強める。すぐに稜線西側がガレた部分が登場、久しぶりに展望が開け、上河内岳から信濃又の景色が広がる。聖岳、悪沢岳は真っ白とまではいかないがそこそこ白かった。

2135m峰 2135m峰から見た大根沢山
2135m峰から見た不動岳〜光岳(クリックで拡大)

 2135m峰でも西の展望が開け、中ノ尾根山から不動岳が見えるようになり、視界の左端にようやく大根沢山が見えた。しかし小根沢山はあそこからさらに300mほど標高を下げた奥地なんだなぁ。当然、その姿はここから見ることはできない。

 深いシラビソ樹林を緩やかに下るが、南向きの尾根になる影響か雪が少ない。尾根が細い区間は明瞭な踏跡が登場するが、尾根が広がるとバラけるのか苔むした地面を適当に歩く。深南部と言っても西部の不動岳などとは違ってこの付近は笹は皆無で南アのシラビソ樹林のようなのでどこでも適当に歩ける。細かいルートは気にせずに尾根を外れ無ければ問題ない。まだまだ目印も多いままだ。2137m峰付近は平坦な地形で目印が無いと下りはイヤらしい場所だ。

大根沢山最高点。標識無し 平坦地形を南下
大根沢山三角点 文字が消えた山頂標識
赤ペイントの空き缶があった 文字が消えた案内板

 大根沢山への最後の登りにかかると北向きの尾根だからか、徐々に積雪量が増えてくる。とはいってもせいぜい足の甲くらいの深さしか無く、スパッツの必要性は無い。山頂が接近すると尾根がなだらかになるが、相変わらず目印が多いし往路は高みを目指せばいいのでお気楽だ。やがてなだらかながらも明瞭な最高点に到着、山頂標識はなく赤布がぶら下がっているだけだった。深いシラビソ樹林で展望皆無。そこから目印に従って南に進むと同じくシラビソ樹林で展望が無い地点の一角に三角点がぽつんとあった。古びた標識と目印類があり、ペイントスプレーの空き缶が落ちていた。雪の上には足跡皆無、まあ、これから登ってくる人がいるかもしれないが。前回登った時の記憶は既に無いが、標識はもう少し新しかったかな? 深い樹林で日当たりも無く、足の指先は痛いくらい冷えていたので、僅かな隙間から日が差し込む場所を捜し出して休憩。でもやっぱり寒い!

隙間から日差しが差す場所で休憩 急激に高度が落ちる肩で明るくなる
そして樹林が切れて暖かい!
肩から見た大無間山〜池口岳(クリックで拡大)

 あまりのんびりもしていられないので出発。ここから標高差300mも下るのはもったいないが、地形がそうなっているのだからいかんともしがたい。帰りがきついかなぁ。踏跡は雪の下なのでテープ類に導かれて緩やかに南進していくと、傾斜が増して本格的に下り始めたところでふいにシラビソ樹林が消えて明るい尾根に変貌、それまであった雪もすっかり消えて体感温度が劇的に上がった。南〜西の展望も開け、休憩するには最適な場所だった。

南斜面で雪が消える このガレの縁を下った

 尾根の西側はガレているがさほど危険は無く、踏跡はおおよそガレの縁を下っていく。正面には2127m峰が見えているが、小根沢山はその向こう側に隠れて見ることはできない。いったんガレが終わってなだらかは尾根になるが、大根沢山までの登りのような深いシラビソではなく隙間が多くて明るい樹林だった。2127m峰直前にもガレがあり展望が開けていた。そこから僅かに登れば2127m峰で、ここも明るいシラビソ樹林であった。

2127m峰 2127m峰を下り始める
明るい尾根が続く 富士山が見えた。雪が少ない
山伏から西に続く尾根 やっと小根沢山が見えた

 2127m峰から下る尾根は草付き、落葉樹も混じってさらに明るくなり、いつの間にか寒さによるつま先の痛みも消えていた。ここまで来てやっと小根沢山が見えたが冴えない小さな高まりでしかない。明るい尾根を急激に高度を落としていくが、今まで同様に籔は無く快適な尾根だった。

小根沢山北側鞍部 小根沢山山頂

 小鞍部を通過して僅かに登ったピークが小根沢山山頂であったが標識類は無く、大無間山間を縦走する登山者にとっては単なる通過点のようだ。あまり濃くないシラビソに覆われてすっきりした展望ではないが、西側の深南部の山々も見えた。日光が広い範囲で差し込んで暖かく、しばし休憩。さて、やっと行程の半分だが暗くなる前に戻れるだろうか。大根沢山まで300m登ればあとは下りだが、長く緩い下りなので時間がかかる。まあ、あれだけ目印が多ければ暗くなっても迷うことは無いだろう。

大根沢山へと登り返す ここで樹林に突入
樹林境界から見た遠州灘 大根沢山三角点再び

 大根沢山三角点に戻ったが足跡は増えておらず、本日のお客は私一人。真冬はこんなものなのかもしれない。下山は地形がなだらかで踏跡は雪の下に隠れているので目印が頼りだ。2重山稜の部分では分散したりもするが、尾根が明瞭ならば迷うことは無い。西側の展望と日当たりが良い2135m峰で少々休憩。

2112.2m三角点峰 新しい切り口。一応整備しているらしい
1737m峰直下に標識あり 廃林道終点
1397.9m三角点峰 良好な道が続く
踏跡薄いが目印は多い 踏跡終点で林道に出る。この1斗缶が目印

 2112.2m三角点峰からの下りは最初は尾根がはっきりしないため、これまた目印に頼る。尾根が明瞭化する頃には標高も落ちて雪が減って踏跡が現れる。往路で一部の地図を落としてしまったため1903m峰、1737m峰は地図無しで歩くが、1737m峰を下り始めたところで落ちていた地図を発見。もう用済みだが。廃林道を横断して1397.9m三角点峰を通過、往路では廃林道を途中まで辿ったが帰り道はこのまま尾根を下って踏跡がどこに出るか確認してみよう。踏跡は落ち葉でやや薄くなる個所もあるがなおも目印多数で迷うことは無いし、ルートは尾根を外さなければ大丈夫。1190m峰を通過し、踏跡は白樺荘方面に逃げていくかと思ったら東尾根上に続く。そして林道に下った個所は真っ赤に錆びた一斗缶がぶら下がった個所だった。なんだ、ここが登山口だったのか。何も書かれていないのでそうとは思わなかった。

明神谷林道入口 県道でカモシカに遭遇。のんびり去っていった

 鉄塔、伐採帯を通過して車に戻った時刻はまだ明るい時間帯だった。林道を下って白樺荘前に出るとカモシカに遭遇。山側はコンクリートの法面なので、カモシカはガードレールの下を窮屈そうに潜って沢の斜面を下っていった。

 

2000m未満山行記録リストに戻る

 

ホームページトップに戻る